アブダビ首長国にKIT/NYU共同脳磁研究所発足

金沢工業大学先端電子技術応用研究所と米国・ニューヨーク大学神経言語学研究所は、UAE(アラブ首長国連邦)アブダビ首長国にKIT/NYU共同脳磁研究所を設立し、その開所式が現地時間
4月23()午後2時30分から共同研究所のあるニューヨーク大学アブダビ校、センター・オブ・サイエンス・アント・テクノロジで行われました。

本学からは石川憲一学長をはじめ、共同研究に 携わる先端電子技術応用研究所の研究員が参加しました
ニューヨーク大学アブダビ校からは副総長であるAl Bloom氏をはじめニューヨーク本校の神経言語学研究所の研究員の方々、またニューヨーク大学アブダビ校と言語学研究分野で共同研究プロジェクトを推進しているUAEユニバーシティの言語学研究者の方々が参加され、合計で40人を超える参加者による盛大な開所式となりました。

このKIT/NYU 共同脳磁研究所については開設前より、在UAE日本大使館の方々にご興味を持って頂き、研究内容やKITとニューヨーク大学の共同研究の歴史について説明行っていましたが、この開所式にも2人の大使館員の方にご参加頂きました。


開所式終了後記念写真におさまる石川学長ら
開所式のあいさつで、石川憲一学長は故賀戸久教授とニューヨーク大学アレック・マランツ教授の出会いについて触れられ、当時のお二人が強い共通の目的意識をもってお互いの分野で協力し合った結果として日本での実用的なMEG装置が完成し、その後も多くの海外研究者との協力により先端電子技術応用研究所がイノベーションを続けてきたことを強調、この地でのKITとニューヨーク大学アブダビ校の連携により新たなるイノベーションがスタートすることを期待している、とのお言葉を頂きました。

当研究所に設置されたMEG装置は、これまで我々が研究を進めた成果を集大成したものです。より良い信号品質を求め雑音低減機能を付加したセンサ駆動回路をはじめ、センサの高機能化を目指したハイブリッド型センサモジュール、データの信頼性を向上させるための記録装置の再設計や被験者の頭部位置検出装置の開発、メンテナンス性を向上させるための周辺機器の改善をしました。
現在64のセンサを実装して計測を開始していますが、この7月にセンサ数を224本へと増設し、より高解像度の計測が行えるようになります。

当研究所ではこの最新のMEGをニューヨーク大学アブダビ校の重要なプロジェクトである言語学の分野における脳による言葉の認識や、文章理解などの謎を探求する重要なツールとしてだけでなく、広く神経科学全般の研究に利用していく予定です。
そのため、現在神経科学分野で一般的に使われている脳波計やアイトラッカ(眼球運動追尾装置)などの検出・記録装置を装備し、MEGによる脳機能計測と同時計測を行うべく準備を進めています。これにより、今まで単独の計測装置で行われてきた計測結果による脳活動の解釈に異なる側面からのデータが加わり、新たな知見をもたらす可能性があります。
また、研究範囲の拡大により、より多くの広い研究分野の研究者との間で議論を深めることが可能になると同時に、新たな脳磁計応用分野の開発が期待されます。