研究紹介-脊髄誘発磁場計測システム(MSG)-

脳磁計(MEG)の開発で得た技術は、脊髄神経を流れる電流を体の外から非接触で検知することも可能にします。これを利用して横河電機、東京医科歯科大学、首都大学東京と共同で世界初の装置である脊髄誘発磁場計測システム(MSG)を開発しました。

手足のしびれや運動の障害などの症状は、脊髄神経での信号の伝わりの悪いことが原因である症例が多く、従来はこれを確かめるための検査として、脊椎に直接電極を挿入して神経の電気信号を測るという高度な手技を要する方法がとられていました。
脊髄誘発磁場計測システム(MSG)を用いることにより、この信号を体の外から磁気信号として非接触で検知することが可能になり、患者に負担の少ない有用な検査が可能になるとの期待が寄せられています。

東京医科歯科大学では頸椎(けいつい)に異常のある患者41人についての検査を従来の電気計測と併用して行なった結果、93%について診断結果が電気と磁気で一致することが確認されました。

図1は、SQUIDを収めた容器であり、患者は横たわって首の後ろに発生する
磁気が計測できる仕組みです。

図2は、計測した磁気の分布からその源である電流の分布を求めたものです。赤いところは電流密度が高く、青いところは電流密度が低い部位です。